恐怖の独裁者のアミューズメントパークにイグノーベル平和賞

■アミューズメント・パーク「スターリン・ワールド」

2001年 イグノーベル平和賞)

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■受賞した人

ビリウマス・マリナウスカス(リトアニア、グルタス)

■受賞理由

 

旧ソ連の独裁者を称え、家畜用車両に乗って建物見学の出来る画期的なアミューズメント・パーク「スターリン・ワールド」の建設を称えイグノーベル平和賞が贈られました。

 

■イグノーベル平和賞まで

周囲を有刺鉄線で囲まれ、ところどころに監視塔がそびえ立つアミューズメント・パーク「スターリン・ワールド」。ヒトラーと並ぶ旧ソビエト時代の恐怖の独裁者であるスターリンのテーマパークです。(スターリン時代の詳細はあまりにも惨たらしいので、割愛します。)

 

スターリン時代の大粛清にて使用された政治犯収容所を真似た施設をオープンしたのは、マッシュルームのビジネスで財を築いたビリウマス・マリナウスカスでした。

 

正式名称「グルタス彫像パーク」では、ソビエト時代の軍歌をスピーカーで流し、花崗岩やブロンズでできたレーニン、スターリンなどの彫像を展示しています。マリナウスカスはソビエト陸軍に入隊していた時期もありましたが、特別旧ソビエトに愛着を感じていたわけではありませんでした。

そしてそんな自分ならば、このかつて競売にかけられていた彫像たちを使って何かおもしろいことができるのではないか、と考えたのです。スターリン・ワールドの建設に対し、当然反対の声も存在しました。

工事現場にブロックを投げ入れるという物理的な嫌がらせもあったと言います。

 

しかし相手は人生の大半を共産党政治局員として過ごした、筋金入りの猛者です。そんなマリナウスカスを止める、というのが、土台無理な話でした。

 

授賞式にて、マリナウスカスは次のように話しています。「“百聞は一見に如かず”とは普遍的な原則だと思います。皆様も、是非一度リトアニアを訪れ、スターリン・ワールドにもいらしてください」

 

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ガンジー主義を貫いたロサンゼルス市警にイグノーベル平和賞

■ロサンゼルスのガンジー、ダリル・ゲイツ

1992年 イグノーベル平和賞)

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■受賞した人

ダリル・ゲイツ(前ロサンゼルス市警察署長)

■受賞理由

ロサンゼルス暴動において、冷静に対処し何一つ有効な手立てを取らなかった無抵抗主義に対して当時のロサンゼルス市警察署長にイグノーベル平和賞が授与されました。

■イグノーベル平和賞の背景

LAPDとは、ロサンゼルス市警察(Los Angeles Police Department)の略称です。過去に放送されたドラマでは人間味あふれ、礼儀正しい警官として描かれてきたこのLAPDの実情は、世界中の人々の知るところとなりました。

 

事件の発端はある人物がスピード違反と飲酒運転で逮捕されたことに始まります。その名はロドニー・キングという黒人の男性でした。泥酔した彼を数人の白人警官が取り囲み、現場でリンチをはじめたところを、近隣住民がビデオ撮影してテレビが放映したことでこの件は発覚したのです。

しかしリンチをしていた白人警官たちは、白人の裁判官と白人で構成された陪審員のもとで無罪を言い渡されます。

 

また同じ時期、韓国系アメリカ人店主によって、万引きを疑われた15歳の黒人少女が後ろから射殺されるという痛ましい事件も起こりました。これらの事件が引き金となり、日ごろより虐げられ不満を抱いていた黒人達によって、ロサンゼルス市内の各所で暴動が起きたのです。

 

受賞者のダリル・ゲイツ署長は長年、LAPDにおいて「過去の失敗から学び、どんなに混乱した状況に直面しても冷静に対応できる」ことを自慢としていました。さて、ここで暴動が起きた後のゲイツ署長の行動を見てみましょう。

 

暴動が悪化して住民が殺傷され、放火が相次ぎ、あまつさえそんな状況が世界中に中継されている中、最高責任者ゲイツ署長は政治家主催の資金調達のパーティーでよろしくやっていたと言います。

 

奇妙なことに、この「混乱した状況」に「冷静に対処」し、暴動を鎮めたのは、かつて白人警官にリンチされたロドニー・キングでした。

 

しかるべき行動を取らず、沈黙を通したダリル・ゲイツ署長はその世界規模の人心掌握能力を称えられ、イグノーベル平和賞を授与されたのでした。

 

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